断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
そっと握られた手が、私の頭を撫でてくれた日と同様あまりにも優しく温かかったから。
“心地良いわ”
気付けば私も、彼の手をぎゅっと握り返していたのだった。
「……案外、誰にも声をかけられないものなのですね」
「まぁ俺はニコと違ってあまり顔は出してないから」
これを、と渡された大きな布をフードのように見立てて羽織るだけの簡単な、変装と言えないほどの変装。
顔を隠すというよりも質の良い服を隠すためのような格好で、知っている人がいればすぐに顔バレしそうなものだが、連れられた場所が貴族御用達のお店が並ぶ王都の中心ではなく平民が多い市場の方だったお陰でその心配もなさそうだった。
「アンドレアス殿下、本日はどちらに向かわれるのですか?」
迷いない足取りで真っ直ぐ進む殿下の目的地が気になった私がそう訊ねると、スゥ、とその赤い瞳を細めた殿下がじっと私を見る。
その様子にドキリとした。
“き、聞いちゃダメだったのかしら?”
だが、どうやら殿下が引っかかったのはそこではなかったようで。
「……流石に名前と殿下呼びは気付かれる」
「え、あっ! も、申し訳ありません」
“心地良いわ”
気付けば私も、彼の手をぎゅっと握り返していたのだった。
「……案外、誰にも声をかけられないものなのですね」
「まぁ俺はニコと違ってあまり顔は出してないから」
これを、と渡された大きな布をフードのように見立てて羽織るだけの簡単な、変装と言えないほどの変装。
顔を隠すというよりも質の良い服を隠すためのような格好で、知っている人がいればすぐに顔バレしそうなものだが、連れられた場所が貴族御用達のお店が並ぶ王都の中心ではなく平民が多い市場の方だったお陰でその心配もなさそうだった。
「アンドレアス殿下、本日はどちらに向かわれるのですか?」
迷いない足取りで真っ直ぐ進む殿下の目的地が気になった私がそう訊ねると、スゥ、とその赤い瞳を細めた殿下がじっと私を見る。
その様子にドキリとした。
“き、聞いちゃダメだったのかしら?”
だが、どうやら殿下が引っかかったのはそこではなかったようで。
「……流石に名前と殿下呼びは気付かれる」
「え、あっ! も、申し訳ありません」