断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
「ある一定時間満月の光を吸収した月光草は、なんと微量だが魔力を保有するんだよ。魔力は本来内側から作られ放出されるものなんだが、これは外部からの魔力を吸収しそのまま溜められるという奇跡を起こせる草でね」
「は、はぁ」
「その研究が捗れば魔力を持たない人も魔力を保有し、そしてゆくゆくは魔法や魔道具が再び溢れる時代が来るかもしれなく……あっ、あそこの花が見えるか、ビビ!」
「え? えぇっと、あの赤い花でしょうか?」
「その隣の紫の花だ、ほら、あそこの!」

“あ、圧が凄い”

 普段の冷静沈着な印象とは違い、先日の部屋同様に饒舌で。

 
「……でん、アレス様が楽しそうで良かったです」

 思わずふふ、と笑いながらそんなことを言うと、すぐにムスッとした顔を向けられる。
 だがその頬や耳がほんのり赤く染まっているのを見ると、機嫌を悪くしたというよりは照れているだけなのだろう。

“まさか元婚約者であるニコラウス殿下にもそんなこと思ったことがないのに、年上の殿下のことをまた可愛いと思うなんて”
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