断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 少し気恥ずかしくてミルシュカから顔を逸らしつつそう言うと、彼女の口角がニマッと上がる。

「確かにビクトリア様にはプライドが高く自分中心な男性よりも、落ち着いて当たり前ではない時間も当たり前のように楽しめる相手がお似合いだと思います」
「も、もうっ!」

 彼女の言うその二人が誰と誰を指しているのかは明確で、私はつい声を荒げたのだった。

 

“それにしても、本当にミルシュカは変わったわね”

 教育を施す前、つまりはやり直す前の彼女は自分の都合のいいように事を進めて平気で人を貶めるタイプなのだと思っていたが、やり直し教育をした今の彼女からはそんな姿は想像出来ない。

 仕事も真面目にこなし、不特定多数の異性に声をかけるようなことだってもちろんなくて。

「本来の気質はこちらだったってことなのかしら」

 ベッドにそっと潜り込むと、ミルシュカが温めておいてくれたらしくほわりとした気持ちになる。

“こんなに繊細な気が遣えるのに”

 なのに何故やり直し前はああだったのか、本当に理解に苦しむ。
 

「母親を尊敬して同じ行動をしていた、とは思えないのよね」
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