断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 若い男を買い散財していたミルシュカの母。
 そんな母を彼女は軽蔑していた。

“軽蔑していたのは、きっと前回も同じだったはずよ”

 それなのに、そんな母親と同じ行動をしていたのにはきっと理由があるのだろう。
 もちろんただ単純に考えることを止めてしまったから、なんて可能性もなくはないが……


「――誰かの、入れ知恵?」

 王太子の新しい婚約者として花咲く為に、彼女が蹴落とし利用した男たち。
 その中に、逆にミルシュカを唆した人がいるのかもしれない。

“いや、王太子以上に権力を持てる可能性がある令息なんかいないわ”

 それにいくら王太子といえど、申し開きをする場を設けることなく一存で処刑するなんて許されるはずがないのだ。

 だがあの夜殿下は躊躇いなく実行し、隣にいたミルシュカもそれがさも当然のように見て笑っていた。
 まるで最初からそうする許可が出ていたように。


「……そうよ、あの時私は確かに思ったじゃない」

 その場にいて、そして止める様子すら見せない宰相の様子に確かに私は思ったのだ。

『本当にこんなことが認められているのか』と。

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