断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 突然くらりと視界が揺れる。手足が痺れ、舌が動かない。つまりは助けがもう呼べないのだ。

“まさか、さっきのお茶に……!”


 そんな推測を立てたところでもう遅かった。

「あ……れす、さま……」


 そこで私の意識は途切れたのだから。

 ◇◇◇

「――、ここは……」

 ふっと朧気に意識が戻る。
 どうやら薬がまだ抜けきっていないのか手足の痺れが残り上手く体が動かない。

 だが体に触れるその感触からどうやら私はベッドに寝かされているのだと判断した。

 
“恐らく王城……、でも、流石にニコラウス殿下の私室ではないわよね”

 一番可能性が高いのは貴賓室だろうが、王城の貴賓室なんてかなりの数がある。
 助けが来る可能性の低さに絶望しつつも、ならば自分で逃げればいいだけだ。

 
“体が動くようになれば、椅子で扉を殴ってでも逃げ出してやるわ!”

 王太子だったニコラウス殿下ならともかく、今はただの第二王子。
 フォシェル公爵家が後ろ盾にならなければ、彼の立太子はあり得ないだろう。
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