断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!

11.そういうシナリオだったのね

 体に自由が利かない今、ニヤニヤと私の衣服を脱がす宰相を見るしか出来ない。

「純潔を失った君は、行為の証だけをベッドシーツに残しまさか消えてしまうなんて」
「や、やめ……っ」

 どんどんと脱がされ、残った服を一気に引き下ろされると私の胸がぶるりと飛び出た。

「ひっ!」

 露になった胸をどこかうっとりとした様子で見つめる宰相がおぞましい。

「こ、こんなこと許されません!」
「あぁ、許されない。殿下はその地位を剥奪されるだろう」

“殿下の、地位?”

 確かに薬を飲ませたのはニコラウス殿下で、そしておそらくこの部屋に連れ込んだのもニコラウス殿下。
 だが今まさに私に無礼を働こうとしているのは宰相の方で――


 そこまで考えて、やっと理解しゾッとした。
 これは、そういうシナリオなのだ、と。

“そうよ、私が庭園でニコラウス殿下とお茶をしていたのは何人も見ているわ。正式な招待状も届いているし物的証拠もある”

 そしてその茶器から薬が出て、私がいなくなったとしたら?
 宰相の言った通り、破瓜を示す血痕だけを残し行方不明になったとしたら。
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