断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
「あぁ、一目惚れというやつかな。もし君が私の娘として産まれてきてくれていればこんなことをしなくても良かったんだが、よりにもよってあのフォシェル公爵の娘として産まれてくるなんてね」

 はぁ、と煩わしそうにため息を吐いた宰相は、幼い君が日に日に花開くように美しくなっていく姿は涎が出そうなほど美味だった、なんて意味のわからない言葉を更に続けた。
 

“何を言ってるの?”

 異常だ。あまりにも異常。

「頭の悪いニコラウス殿下の婚約者にして、君の罪をでっち上げさえすれば勝手に処刑してくれるはずだったんだ。罪を犯した君のせいで公爵家は力を失うし、仮死状態の君を簡単に手に入れられるはずだった」

“それがあの夜の真相……!?”

 ニコラウス殿下を傀儡にし、権力を握る。
 てっきり政争だと思い込んでいた。まさかこんな理由だったなんて。


 未だにベッドの近くで倒れているニコラウス殿下へと視線を移した宰相が、すぐに舌舐りをして私へと視線を戻す。
 それは、もう猶予の時間が終わったとでも宣告するようだった。
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