断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 ぢゅぷぢゅぷと愛液が溢れる音が響き、ナカを擦り上げられる度にゾクゾクと快感が背筋を走り腰が甘く震える。

「や、あれ……す、さま……っ、アレスさま……っ」
「可愛い、ビビ、可愛い」

 無意識に手を伸ばすと、すぐにその手を取ってくれた彼が私の手のひらに口付けを落とす。
 まるで本当に愛おしいと思ってくれているようなその仕草が、私の心を熱くさせた。

“この腕には頼っていいんだ”

 やり直す前の私は、ニコラウス殿下の妻になるべく王太子妃として恥ずかしくない振る舞いを、とただただ前を向いていた。
 隣に立っているはずの人が、別の女の方を向いているだなんて気付きもせず、真っ直ぐに前だけを見据え歩いてきた。

 そしてその結果足元を掬われたのだ。

“やり直してからもそうだった”

 自分は何も悪いことなどしていないのだと憤り、そして相手の非を正すためにまた私は前だけを見据えて。

 そのお陰で私はあの恐ろしい未来を回避し味方を得ることが出来たけれど。

“その代わり、隣に立つ人を失った”

 全て一人で立ち向かわなければならないという状況に気付いてしまえば苦しくて、寂しくて。

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