断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!

番外編『甘い時間』

「……ん、……?」

 微睡みの中、ふと意識が覚醒してくる。
 自分がいつ寝て、ここがどこなのかが寝惚けた思考ではすぐに答えへと辿り着かず、ぼんやりとしながら起き上がると、下半身に違和感。

 ――と、いうか。

 
「なんで俺は裸で寝て……?」

 いまだ覚醒しない思考で必死に考えつつ、違和感のある部分へと手を伸ばすとぬるりとした何かが指に絡む。
 ぼんやりと手についた粘液を眺め、そこでやっと気が付いた。

「そうだ、俺はビクトリアを……」

 なかなか頷かないのはきっと意地を張っているのだろう。
 幼い頃に婚約してしまえば簡単だったのに、何故か先延ばしにする選択をしたビクトリア。
 研究ばかりの引きこもった兄よりも絶対俺の方がいい王様になれるのだと確信しているし、その通りだと宰相も背中を押してくれている。

 だが次男の俺が立太子されるにはビクトリアとの婚約が必須だった。
 だからこのような強行手段に出たのだ。
 素直になれないだけで、想い合っているのなら問題はないだろう。

「こんなに精液が透明になるほど激しく何度も抱いたってことか」

 なるほど、と自分の手についた粘液にそんな答えを見つけた俺は、シーツで手を拭きながら隣で寝ているはずのビクトリアへと視線を向けて――……


「きっ、きゃぁぁぁぁぁぁあ!!!」


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