断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 突然興奮し憤る私に戸惑うエマには申し訳ないが、それでもこの怒りを抑えることなど出来ない。

 精神的にはあの処刑された時の19歳のはずだが、肉体である十歳へ引っ張られてしまっているのか、それとも自分勝手な理由で処刑されたこの恨みがそうさせているのか。

 どちらなのかはわからないが、今の私はどうしても大人の仮面をつけることなんて出来なくて――


「お嬢様、ニコラウス殿下がいらっしゃいました」
「!」

 その時私室の扉がノックされ、フォシェル家の侍従が声をかける。

“対策を練る時間も貰えないのね……!”

 チッと舌打ちしたくなる気持ちだけはなんとか抑え、バサリと金髪を手ではらった私は小さくため息を吐いた。

“どんな理由であれ、王族をお待たせする訳にはいかない”

「わかったわ」

 ――まずはこの婚約を回避する。

 
“心を入れ換える? あり得ないわ、だって私は絶対に悪くなんてないんだもの!”

 キッと睨むように扉を見た私は、『二度目』になる殿下との婚約の場へ足を進めたのだった。

 ◇◇◇

 ――結果から言えば婚約は不成立となった。

“けれど、満点ではないわね……”
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