断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!
 ハッキリ聞いた浮気相手への『暗殺』の企て。
 ぶっちゃけ私が画策してもおかしくはないほどではあるが、それでも私の怒りの対象は他の女に骨抜きにされ馬鹿に成り下がったニコラウス殿下へ向けられていた。

“だから私があの女の暗殺を狙った訳ではないけれど……”

 だが、裏取りもせずに独断で処刑を実行するだろうか?
 もし過ちだった場合、王太子という立場どころか全ての権利を剥奪される可能性もあるのに?

“つまり証拠があったということよ”

 それが『本物』であるかは別として。


「……あの女の自作自演で証拠を捏造し、まんまと騙されたのかしら。いえ、共謀し私を排除するのが目的だったのかも」

 確信はないが、だがあの女が関わっていることは間違いない。
 何故なら彼女は『当事者』だから。

“誰かに命を狙われた、ではなく『私』に命を狙われたと証言したからこそあんな断罪劇が繰り広げられたのよ”
 
 なら、やはり最も怪しいのはニコラウス殿下の未来の浮気相手であった、あの女……


 ふん、と鼻を鳴らした私が机の上のベルをチリンと鳴らすと、すぐにエマが室内へと入ってきた。
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