籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
「玲はどうしてRULERにいるの…?玲ならこんなところにいなくたって、別で総長にだってなれる器じゃ――」

「俺のことはどうでもいい。俺は、“ここ”じゃないとだめだから」


そう言って、玲は口の端ににじんだ血を荒々しく親指の腹で拭い取った。



わたしは部屋に戻ってから、玲のさっきの言葉を思い返していた。


『俺は、“ここ”じゃないとだめだから』


ここじゃないとだめって…どういう意味?

玲がRULERにこだわる理由って、なに…?


RULERに所属しているメンバーは、みんな十座の強さに惚れ込んでいるように見える。


十座の横暴な態度も強さの表れ。

そんな十座が総長として全国に名を轟かせるRULERの一員ということに、メンバーはあぐらをかいている。


だけど、この1ヶ月RULERにいて気づいたけど、…玲だけが異質。
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