籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
そう言って、ケラケラと笑う裕一くん。


つばをつけておいたら治るのは、わたしの顔の傷のほう。

わたしをかばったときにできたケガは、ちゃんと手当てはしたのだろうか。


それに、十座に殴られた頬…。

あれは、つばをつけたって消毒したってすぐには治らない。


「いくら考えたって納得いかないんだけど、こんな傷くらいでどうして玲が殴られなくちゃいけなかったの…?」


玲はわたしを守ってくれただけなのに、それで負った傷が原因で殴られるなんて、やっぱり理不尽すぎる。


「それは、十座サンが正しいですよ。なにがあっても、妃候補は絶対に傷つけてはいけません。十座サンが気に入る顔なら尚更」

「だからって、なにも殴らなくても…」
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