籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
しかし玲は、感情的になっているわたしに対して、なぜか穏やかなまなざしを向ける。

まるで、わたしを落ち着かせるように。


「…大丈夫、俺は死なねぇよ」

「そんな…大丈夫って言ったって、なにを根拠に――」

「だって前に言っただろ?『俺の命にかえても、必ずお前を守ってやる』って」


痙攣する腕を目一杯伸ばし、わたしの頭をぽんぽんとなでる玲。


その言葉は、前にバイクに乗っているときに玲が言ってくれた。


『俺の命にかえても、必ずお前を守ってやる』


そのあとに続いて聞こえた言葉は――。


『ずっと前からそう決めてたから』


あのときは聞けなかったけど、“ずっと”って…いつからなの?


「…ねぇ、玲」


あの言葉の意味を知りたい。


そう思って声をかけたけれど、目を向けると玲はいつの間にか眠っていた。
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