籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
罪悪感と恐怖で押しつぶされそうなわたし。

だけど、そんなわたしを見て玲がフッと笑う。


「なんて顔してんだよ。俺がそう簡単にくたばるかよ」

「…でもっ」

「安心しろ。お前を守りきるまで死にはしねぇから」


“守りきるまで”って、妃候補の世話役は…そんなに重要なこと?

自分の命をかけてまで…はたさなければならないことなの?


玲がわたしを守る意味って――。


「水…、もらってもいいか?」


ふと、玲のそんな声が聞こえて顔を上げる。


「…あ、うん!」


わたしは、500ミリリットルのペットボトルを手渡した。

それを受け取った玲だけど、キャップが開けられない。


きっと、手に力が入らないんだ。


「わたしが開けるよ」


かわりに、わたしがペットボトルのキャップを開ける。
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