籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
まだ熱はあるし、この数日まともに食事も摂っていない。

だから、体力だって回復してないはずなのに、何食わぬ顔をしていつも通りに振る舞って。


わたしにはわかる。

十座の前で、必死に痩せ我慢していることが。


そんな玲が心配で、ずっと目で追っていた。


すると、廊下に整列するRULERのメンバーの後ろから玲を見つめるわたしの存在に十座が気づく。


「お?なんだ美鳥、オレさまと会えなくて寂しくて出迎えにきてくれたのか?」


そんなわけない。

そもそも十座なんて、眼中にも入っていなかった。


「茉莉花は出迎えるなんてこと、今までで一度もなかったのにな。お前はかわいいやつだな、美鳥」


なにを勘違いしてか、十座はわたしに向かってニヤリと微笑む。

わたしは眉間にしわを寄せ、視線をそらした。
< 250 / 440 >

この作品をシェア

pagetop