籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
そんなこと、できるわけがない。


勘のいい十座なら、すぐに見破ることだろう。

わたしはこのチョーカーをつけられた時点で、絶対に十座に逆らうことはできないのだから。


「気遣ってくれて、ありがとう玲。でもわたし…、行くね」

「…なに言ってる!十座の部屋へ行くことの意味をわかってるのか…!?」

「うん…。あんまり想像したくはないけど、それなりのことは理解してるつもり」


わたしはあえて笑ってみせる。

これ以上、玲に迷惑をかけたくないから。


「お前――」

「それに、ただの世間話かもしれないし…!行ってみなくちゃなにもわからないから」


実際は、思っていたこととはまったく別のたいしたことではないかもしれない。

ここでああだこうだ考えていたって、なにも始まらない。


「それじゃあ、ちょっと行ってくるね」
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