悠久の絃 2

一瞬廊下に出た椎名先生はすぐに戻ってきた。


「泣くな泣くな。そんなに怖い夢でも見たのか?」



肩をポンポンと擦りながら涙を拭いてくれる。


ハエのようにべっとりと耳にこびりつく嫌な声。


―消えろ―


なんでよ。なんでこんなに追いかけてくるの。


「落ち着けよ。また発作出るぞ。」


ぼろぼろと溢れる涙が、椎名先生の白衣にシミを作っていく。





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