悠久の絃 2

予測不能

その日、僕はいとを学校まで送ってそのまま車を走らせた。


賑やかな駅前、閑静な住宅街、緑の生い茂る丘陵地。車を走らせてから2時間程が過ぎただろうか。

車を駐車場に停め、シートベルトを外した。

「ふぅ、、」

軽く一息ついて、荷物を持って自動ドアをくぐる。


「こんにちは。早瀬葉末さんの面会に来ました。」

受付を済ませて、葉末さんの個室へ案内された。


「葉末さん、お久しぶりです。赤城悠です」


ゆっくりこちらを振り向いて、お久しぶりです、と柔らかな笑顔を見せてくださった。

「天気も良いですし、ホールに行きませんか?今日は陽が入って暖かいと思いますよ。」


「ええ。ぜひ行きたいわ。」


僕はリュックを背負ったまま葉末さんを車いすに乗せてホールへと向かった。



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