悠久の絃 2
「どうするべきか、少し考えてきな。上宮先輩、いるの気付いてますよ。話聞いてきてあげてください。

悠先生、食堂まだ開いてるから、上宮先輩に奢ってもらいな。それと、絃ちゃんが今まで見せた笑顔が偽物だったのか、もう一度思い出して」


バレてたか、なんて呑気に言う上宮先輩に悠先生を預け、俺は絃ちゃんの病室に戻った。




相変わらず目覚めないか。

バイタルは安定しているとは言い難いが、今のところ良好。というか生理は来たのか?これだけストレスが溜まっていれば来ていなくても珍しくない。
まあ、今はいい。


この子が目覚めた時に何を思うのか。早瀬先輩がこの姿の愛娘を見たときに何を思うのか。

落胆か、安堵か。



八年。俺たちにとっては普通の八年だったが、この子にとっては長く苦しい八年だった。

―同等の苦しみすら知らない…頑張れ、まだ生きろ、諦めるな、なんて無責任な言葉…―


悠先生の言葉が俺にも重くのしかかる。



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