悠久の絃 2
直近の2ヶ月か、絃ちゃんの心が安定しない。
ついこの間も叱ったような気がする。


布団に入れていた手を出して軽く握ってやる。

細くて白い綺麗な手。手の甲にも点滴を刺すことがあるが、たまになので痕は残らない。



「…しんどいよな」




その瞬間、握っていた手が反応した。


キュッ、と小さな反応だが、モニターの数値が上がってきている。


「絃ちゃん、起きた?左手、もう少しギュッてできる?」


たしかに反応が返ってきた。


「うん、おはよう。少しもしもしするからね」


ステートを耳にかけようと手を緩めると、ギュッと握られた。

「お?絃ちゃん、手離して。もしもしできないよ」


さらに強く握られる。それほどの力ではないが、精一杯握っているのだろう。

目を見てあげようと顔を横に向けると、涙が溢れた顔がある。

< 391 / 492 >

この作品をシェア

pagetop