悠久の絃 2
バス停でしばらく待っていると、進くんが来た。

「おまたせ。行こうか。」


コクッ


行きたくはないんだけどね。今日は進くんを病院に連れていくという重大任務があるから逃げられない、、、




『次は〜桜庭総合病院前〜桜庭総合病院前〜』


バスのアナウンスが車内に響き、数分してバスが停まった。



「足元気をつけて、」


進くんは優しくエスコートしながら降ろしてくれた。


あれ、あの自動ドアの前にいるのって、、


その人たちは私たちを見つけて歩み寄ってきた。


「いと、ありがとね。」


「悠!」


「進、星野先生に言うことあるだろ?」


星野先生、と呼ばれた悠の隣に立っている先生は、進くんの右肩に手を置いて、

「進、どうして来なかった?今も熱くなってるし、痛むだろ。」


と言った。



ちょっと待って。私の理解が追いつかない。


「悠?どういうこと?」


「いと、進を連れてきてくれてありがとう。もうここからは1人で行けるね?
僕は星野先生と進のことを診てくるから。」


、、、コクッ



なんだか怖くなって、北棟に脚を向けた。

顔を横にした時、目に涙が溜まった進くんを見て、なんだか申し訳なくて、歩くスピードが少し早くなった。




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