悠久の絃 2
鶴川「………夜星先生、悠先生、先に小児科に上がっていてください。」



夜星は悠の背中を軽く押して、2人は診察室を出ていった。








「絃ちゃん、わかりたくないよね。そうだよね。
逃げちゃいたいよね。
できることなら全部まっさら、白紙にしちゃいたいよね。
何も無かったことにして、悠先生と2人で暮らしていたいよね。」


「「でも、」」


「うん、絃ちゃんが話していいよ。」


「…でも、それは、出来ない、、」


「そうだね。どうしてかわかるかな?」


コクッ

「お腹も、喘息も、心臓も、心も、治してくれるのは悠だけじゃないから。」


「うん。絃ちゃん、ちゃんとわかってるね。

…実はね、お腹の治療は悠先生でもできるんだ。まあ、医学部に行けば全ての科目を勉強するからできるのは悠先生だけじゃないんだけどね。僕が専門医だから任せてくれたんだ。」


「、、、、じゃあ、なんで悠がやってくれないの?」


「それは、絃ちゃんを大事にしたいって思ってくれてるからだよ。
治療、嫌でしょ?一緒に暮らしてて、幸せって言ってくれた子に対して嫌な治療はしたくないんだよ。だから、隣に立って、手を握ってくれてるの。

いつか、僕が治療しなくてもいい日が来るかもしれない。いや、来るよ。その日まで、頑張れないかな?」


「でも、やっぱり、、、、」


「嫌いになっちゃうのが怖いかな?」


コクッ


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