逃避行、じゃあね。
「明亮受かって、東京で一人暮らしすることになって。親戚は助けてくれるけど、それに甘えてばっかじゃいられないから、バイトをすることにしたんだ。
だから部活も高校ではできなくて忙しかったんだけど、そんな時に告白してくれた子がいた。でも付き合う余裕なんてなかったから断った。何が最悪かって、その子のことを俺の親友が好きだったんだよね。
告白されたなんて言えなかった、でもある日俺の親友はその子に告白することにした。そこで、全部ばれたんだ。その子が俺に告白して、俺が振ったことも。
そこで相手の気持ちとかを考えられるくらい大人じゃないからさ、高校生なんて。親友は口を聞いてくれなくなった。
俺に両親がいないこととバイトしてることはそいつにだけ話してて、俺もバカなんだけどさ。原則バイト禁止だったんだけど、特別な理由扱いで学校には許可されてたから罰則はなかった。でも、噂なんてあることないこと広まるし。
で、そこから他の同級生にも不良扱いされて、まあこうなって…って、そんな、泣くなよ。笑」
話を聞きながら私は泣いていたみたいだ。彼に言われてはっとした。
「辛い話だし、話したくなかったら話さないでいいよ、ごめんね。」
私は続けて話した。
「私人を見る目あるからさ、わかるよ、蓮が不良なんかじゃないって。」
「最初めっちゃナンパとか色々疑われたけど。」
「それはいいの。」
「なんでだよ。笑」
「とにかく、変な言葉なんか気にしなくていいし、わたしは少なくとも力になるから。」
「ありがとう。」
そう答えた蓮の表情は妙に清々しかった。