逃避行、じゃあね。

蓮は黙って手を繋いでくれた。


今のって告白になるのかな、そしたら手、繋いでくれたってことは…いや、告白ではないか。とぐるぐる考えてしまうわたしをよそに、蓮は穏やかに車窓を眺めていた。


そうこうしてるうちに海に着いていた。


「綺麗!」


夕日に照らされた海は一段と輝いていた。ずっとここにいられたらいいのに。なんて考えてるのを見透かしてるのだろうか、蓮は言った。


「遅くならないうちに家に帰りな。」


「もう帰ってほしいの?」


「そんな意地悪じゃないよ、瑠菜には待ってる家族がいるんだから。」


その言葉の重みに、私は何も返せなかった。
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