逃避行、じゃあね。

その後も彼はなかなか降りなくて、いったいどこまで行くんだろうと不思議に思った時、


「遠出って、どこまで行くんですか?」


と彼が尋ねてきた。だから私は


「いっそ終点まで行っちゃおうと思ってます。」


って答えると、少し驚いて


「すごい、そんな行動的な人初めて見たかも。笑」


「あはは、最近色々疲れちゃって。色々忘れてゆっくりするのも大事ですよね。」


と私が言うと、


「それなら俺も着いていっちゃおうかな。」


え?


「今会ったばっかなのに急すぎません?」


「特に目的とかないなら、別によくないですか?女の子1人じゃ危ないし。」


これってもしかしてナンパしたいだけ?わたしそんな軽くないし。


「普段からこうやって女の子捕まえてるんですか?」


「えっ、俺ってそんなチャラく見えるんですか?」


「いや、だってやってることが…」


もう降りちゃおうかなって思ったとき、彼が急に神妙な面持ちになって、


「君に渡したいものがあって。」


と言った。でも警戒しまくっている私にはそれすらも怪しく聞こえて、


「薬物とかじゃないですよね?」


なんて聞いたら、彼は吹き出してまさかと一蹴した。


< 2 / 23 >

この作品をシェア

pagetop