逃避行、じゃあね。
その後も彼はなかなか降りなくて、いったいどこまで行くんだろうと不思議に思った時、
「遠出って、どこまで行くんですか?」
と彼が尋ねてきた。だから私は
「いっそ終点まで行っちゃおうと思ってます。」
って答えると、少し驚いて
「すごい、そんな行動的な人初めて見たかも。笑」
「あはは、最近色々疲れちゃって。色々忘れてゆっくりするのも大事ですよね。」
と私が言うと、
「それなら俺も着いていっちゃおうかな。」
え?
「今会ったばっかなのに急すぎません?」
「特に目的とかないなら、別によくないですか?女の子1人じゃ危ないし。」
これってもしかしてナンパしたいだけ?わたしそんな軽くないし。
「普段からこうやって女の子捕まえてるんですか?」
「えっ、俺ってそんなチャラく見えるんですか?」
「いや、だってやってることが…」
もう降りちゃおうかなって思ったとき、彼が急に神妙な面持ちになって、
「君に渡したいものがあって。」
と言った。でも警戒しまくっている私にはそれすらも怪しく聞こえて、
「薬物とかじゃないですよね?」
なんて聞いたら、彼は吹き出してまさかと一蹴した。