逃避行、じゃあね。
 
そんな時、彼のジャージの文字が目に入った。


「めい、りょう…って書いてあるけど、もしかして明亮高校ですか?」


「あ、そうです。学校に連絡するのはやめてくださいね。」


「いや、そんなつもりじゃないですよ。笑 明亮ってめっちゃ頭いいところですよね、すごい。」


「いやいや俺なんか底辺、下の下なんで。」


「入学してる時点でレベルが違うっていうか、すごいです。何年生なんですか?」


「2年生です。君は?」


「私は中学3年生。」


「中学生?3年生ってことは高校受験か。」  


「そうなんです、だからしんどくて。」


「わかるよ、ていうか全然タメ口で話してくれて構わないよ。」


「…うん。名前、なんていうの?」


「蓮。はすの花の蓮。」


「私は瑠璃の瑠に菜っ葉の菜で瑠菜。」


「なんか瑠菜っぽいかも。」


「どういうこと。笑」


自分でも気づかないうちに打ち解けて話してた。


「蓮も来年受験の年だね。」


「そうだね、まあ俺はするつもりないけど。」


「そうなの?将来何かになりたいとか?」


「んー、まあそんな感じかな。」


「いいなぁ、わたし夢とか何もないから色々不安で。」


「逆に何にでもなれるって思えばいいことじゃん。」


「たしかに、いいこと言うね。」


蓮が今サボってるのって、余裕あるからなのかな。羨ましい、わたしとは正反対。




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