逃避行、じゃあね。

「ずっと思ってたんだけど、鞄についてるそのマスコット、可愛い。」


蓮の鞄には、可愛らしいキーホルダーがついていた。使い古された鞄とは対照的にすごく綺麗なままで、単に新しいのか、それともずっと大切にしてるのか。


「これ?褒めてくれた人初めてなんだけど。みんな子どもっぽいとかバカにしてくるからさ。」


「えー、私めっちゃいいと思うのにな。」


「ありがとう。ずっと大事にしてるんだ。」


そう言った蓮の表情からは何かを大切に思ってることが伝わってきて、なんとなくこれ以上聞いちゃいけないなって気がした。


「そうなんだ、私もなんかつけようかな。」


「確かになんもない、今時の女子にしては珍しいじゃん。」


「あはは、私よくおばあちゃんみたいって言われるから」


「そんなに老けて見えないけど?」


「見た目じゃないよ。笑 話し方とか仕草とかがそうっぽいって。」


「たしかに言われてみればそんな感じかもな。笑」


「うそ、なんでだ。笑」


そんなこんなで、気づいたら結構時間が経ってた。
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