冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】


表の世界で活躍する社長なんぞは、いつも互いを騙し合い、汚い金を手にする。


もう有り余るほど持っているだろうに、それでも金を欲しがるのはきっと───


心に生まれた虚構を何とかして輝くもので埋めるため、なんだろう。

おれにはあやちゃんっていう大きすぎる存在があるから金に目が眩んだりはしないけど、もし握っている手を解かれでもしたら……。


そう考える時点で、おれは相当あやちゃんに依存してるなって思った。


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「おっ、飛鳥馬サンじゃねぇか……!! どうした、今日は。闇カジノに顔出すなんざ珍しいなあ」


開口1番にそう声をかけてきたのは、ここの街一帯に支社を持つお偉方。


あははと笑ってごまかし、肩に置かれていた小汚い手をそっと払った。



───酒と女の香水の匂いが鼻を掠めて、胸焼けがしそうだ。


こういう時、決まって思い出すのはあやちゃんのこと。

あやちゃんから香る清楚で純潔な柔軟剤の匂いを思い出す。そうやっておれはいつも心の均衡を保っている。

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