冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
「最近物騒な事件が起こっているとウワサされてるけど、大丈夫なの? 前澤しゃちょー?」
「……っう、そこは無視してくれるとありがたいんだけどな〜〜」
視線を泳がしてそういうサマは、まさにそうだと自分から明かしてしまっているようなものだ。
……本当に、この街の夜の人間は馬鹿だ。
「ま、テキトーに片付けといてね。そうじゃないと、今度おれと会った時どんな目に遭うか、分かってるよな」
最後は厳し目の口調で締めた。
金を持っている自尊心の高い人間には、皇帝からの脅しが1番効率が良い。
カウンターのスツールに座っていたおれはそのまま腰を上げ、真人と一緒に闇カジノを去った。
背後の店内には、またお偉方の下品な笑い声が響いてくる。
おれがいた時は皆喋りさえしなかったのに、おれが出ていった瞬間響宴は始まるのか。
この街では序列が全てだ。
こんな扱いを受けているおれは、そう言い切れる。
……ああ、早くあやちゃんに会いたい。
───そう思った、週末の土曜。