冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
最後は声にならない掠れた声が出た。
誰もいない夜の公園で、あやちゃんはぎゅっと強くおれを抱きしめてくれた。
涙もろいおれじゃなかったのに、あやちゃんに再会してからというもの涙腺が緩くなってしまったらしい。
一筋の涙が頬を流れ落ちる。
あやちゃんの温かい手がそれを拭って、幸せに包まれながらその日は2人あやちゃんの家のベッドで眠りに落ちた。
「……今こうしていられるのって、奇跡みたい」
口をすぼめて、あやちゃんがそう言う。
その通りだと思った。
「そうだね……、おれ、もっと強くなるよ」
「ふふ、麗仁くんはもう十分強いよ。これ以上強くなってどうするの」
花の妖精のように軽やかに笑うあやちゃん。
それを見て、この子との未来を守っていきたいと強く思った。
ただでさえこの街は治安が悪い。
太陽の街と夜の街で分割されている。
その隔たりを取り払うのがおれの役目だ。
まぁ、そんなことをしたら両親に殺されてしまうだろうけど……。
「まあ、だけどおれはもっと強くならなきゃいけないよ」
「そーお? ……ねえ麗仁くん」
少しの沈黙の後、あやちゃんが緊張した面持ちで切り出した。