冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
「……っふは、んなわけないでしょ。合コンって男女がイチャイチャするとこだよ。も~、そんな事も知らなかったの?」
いっ、いちゃいちゃ……!?
その答えを聞いて、わたしは絶望すると同時にあることを確信した。
麗仁くんの機嫌が悪かったのは、もしかしたらわたしが合コンに行くって言ったせいじゃないか。
……ああ、なんて失態を犯してしまったんだろう。
今思えば、あの時の麗仁くん、すごく傷ついた顔をしてた。
それなのにわたしは、……。
「…っ美結ちゃん! わたし、用事思い出したから帰るねっ……。みんなも今日はありがとう!」
突然大声を上げて荷物を手に立ち上がったわたしを、美結ちゃんも大輝くんもみんな驚いたように見つめていた。
「彩夏、急にどうした、…」
「それじゃあ、ばいばいっ」
美結ちゃんが何かを言い終える前に、わたしはカラオケの個室から出た。
わたしの分の料金は机の上に置いてきたから問題なし……っ!
前髪が崩れるのもお構いなしに、わたしはカラオケから出る。
とにかくすぐにでも麗仁くんに謝らないと……っ。
その思いが頭の中を支配していく。
ろくに周りも見ずに注意散漫していたわたしは、横断歩道を走って渡ろうとして、ちょうど交差点を左折してきたトラックとぶつかりそうになった。