冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】


分からないからこそ、おれはあやちゃんのことをもっと大切にしたいと思う。


付き合うと決めたあの夜の日、おれは一生あやちゃんのことを守り、愛し抜くことを誓った。


その誓いは、あやちゃんにとってはおれの重い愛の呪文のようでしかないだろう。

恋人を縛りたいなんて欲はない。


その人の自由は、その人だけのものだ。

おれが好きに扱って良いものじゃない。


ただ、もし、……。


「ふふ、そうかな……? 嬉しい」


もし、あやちゃんがおれの重すぎる愛を受け入れてくれるのなら──。


その時おれは、一体どうなってしまうのだろう。

自分の心に怪物を飼っている危険人物。

それがおれだ。


おれの目の前で、浴衣姿のあやちゃんがくるりと回る。

薄紫の布地に、鮮やかに咲き誇る菖蒲の花が美しく描かれている。

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