冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
「も、もう! 何言ってるの麗仁くん!」
あやちゃんは冗談だと思っているように、顔を赤らめておれを軽く叩いた。
痛くも痒くもないその感じが、なんだかとても愛おしかった。
𓆸 𓆸
週末はやはり人混みが酷かった。
それに、中心都市ということもあいまって、何万人もの人々が訪れている。
東ノ街の住民は、夜の街は出歩けない。
そんな暗黙のルールがあるけれど、今年はおれの意向でこの『夏祭り』という舞台を用意してもらった。
何十年もの間、1度も夏祭りを行わなかった街。
そんな街はここと隣の西ノ街しかないだろう。
おれは、東ノ街に暮らす人々が夜を生きられる街にしたいと願い、その実現に向かってあらゆるシゴトをしている。
言葉にするのは簡単だけど、実際は難しいことばかり。
未成年のおれにはまだ何の力もなく、両親の力にねじ伏せられて終わりだ。