冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
だけど今回だけは、どうしても諦められなかった。
いつもは1度でも却下されたらおのずと諦めてこれたのに、今回はあやちゃんという、おれが引き下がれない存在がいたのだ。
『わたし、いつか麗仁くんと夏祭りデートとかしてみたいなあ……』
『…っ、あ、でもまあ、無理だよね。ごめん、変なこと言っちゃった。今の忘れて? 別にわたし、本気で言ったわけじゃないから……!』
あやちゃんはそう言っていたけど、きっとあれは本心だったはずだ。
そう思ったおれは、夏祭りを開催することを計画した。
おれの専属部下たちに協力してもらって、総動員で企画書の作成にかかった。
部下はおれよりずっと年上の奴らの方が多い。
逆に年下は全くいない。
……いや、1人いたか。
まあそこはあまり重要じゃない。
おれの作成した企画書は抜けも漏れもなく完璧だったと思う。
それなのに、両親はそれに目を通すこともなく表紙を見ただけで却下した。
信じられなかった。
母さんと父さんからしたらおれは自分たちの手を煩わせる嫌な息子なのかもしれない。