冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
それなのに、おれは……。
デリカシーもなくそんなこと訊いて、好きな子に暗い顔させて、──。
はああぁ、ほんと、こんな自分が嫌になる。
情けなさすぎる。
ネガティブ思考から抜け出すことはなく、逆にどんどん引きずり込まれていく。
「っで、でもね。今日初めて食べるから、すっごく楽しみなの!あはは……」
おれが落ち込んでいるのに気づいたのか、どうにかして元気づけようとしてくれるあやちゃん。
その気遣いは有り難いけど、余計自分が情けない人間に思えてやるせない。
「……、そっか。ごめん、おれ、嫌な質問したよね」
隣にいるあやちゃんの目を恐る恐る見つめて、謝った。
「……っううん、麗仁くんが謝る必要なんてどこにもないよ。わたし、そんな弱い女じゃないから!」
そう言って浴衣を捲し上げて、二の腕を見えるあやちゃんは、何だか頼もしげだ。
「っふ、……」
「お、ようやく笑った」