冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
にっこりと微笑むあやちゃんが、おれの両頬を手で包み込む。
──そして。
「麗仁くんは笑ってた方がいいよ。真顔だと、綺麗すぎて怖いし」
おどけるように、だけどおれを励ますように言った。
目が見開く。全身を巡る血液が一気に顔にのぼってくるのを感じた。
「……うん、ありがと」
気恥ずかしくて、頬に添えられたあやちゃんの手に自分のを重ね、ゆっくりと下に降ろした。
そして自然と、お互いにまた手を握った。
りんご飴を買って、次に何を買おうかと考える。
あやちゃんが好きなもの……あやちゃんが好きな、
「麗仁くん」
「……、ん?」
「これ、すっごくおいしい!麗仁くんも食べてみて!」
そう言っておれの方に傾けられるりんご飴。
これは、俗に言うあーん……?
キャラじゃなくて、恥ずかしい気持ちが押し寄せるけれど、せっかくあやちゃんが食べさせてくれるんだ。
「あ、あーん」
口を小さく開けて、一口齧る。
パリパリッと外側をコーティングしていた飴が心地良い音を立てて割れた。