《短編集》愛しの旦那様は今日も私を溺愛する
 それからいつも通りに家事をこなし、昼過ぎくらいに百瀬くんに送って貰って病院へ向かう。

 そして、先に神楽を荒木田家へ送ってきた百瀬くんが迎えに来てくれたので結果を伝えてから私たちも荒木田家へ向かった。


 神楽の為に沢山のプレゼントや豪華な料理が用意されていて終始ご機嫌な神楽。

 お祖父さんお祖母さん、お義父さんお義母さんと皆でテーブルを囲み、話をしながら楽しい時間を過ごしていく。

 食事を終えてケーキを食べようとしていたタイミングで、百瀬くんと目配せをした私は「ちょっといいでしょうか?」と話を切り出した。

 皆が注目する中、私と百瀬くんは神楽の方へ視線を向ける。

「神楽、サンタさんに手紙を書いたでしょ? 一番欲しい物が何かを」
「うん。朝おきたらてがみ、なくなってた!」
「神楽がいい子にしてたから、サンタさん、神楽の願いを叶えてくれたよ」
「え?」

 私と百瀬くんの言葉の意味が分からない神楽はきょとんとした表情を浮かべ、お義父さんたちも何の事か分からないままで話を行方を見守っている中、

「まだ、すぐに会えるわけじゃないけど、ママのお腹にね、神楽の弟か妹がいるのよ」
「神楽の願い、叶ったな」

 そう口にすると、神楽よりもお義父さんたちの方が驚き、声を上げていた。

 お義父さんたちの相手を百瀬くんがしている中、急な話にビックリしたのか反応が薄い神楽に声を掛けると、

「オレ、お兄ちゃんになるの? サンタさん、ほんとにおねがいきいてくれたの?」

 戸惑い気味だった表情から一転嬉しそうな表情を浮かべた神楽が興奮気味に聞いてきた。

「そうよ。神楽が良い子にしてたから、サンタさん、ちゃんとお願い聞いてくれたんだよ」
「うれしい! オレ、もっといい子になる! おてつだい、いっぱいするからね!」
「ありがとう、神楽」

 聖なる夜、神楽の願いは無事に叶えられ、荒木田家皆がプレゼントを貰えた気分になって、幸せな気持ちになれた。

 そんな思い出に残るクリスマスだった。


 -END-
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