《短編集》愛しの旦那様は今日も私を溺愛する
全てを見せられるのは一人だけ
「今年のバレンタインは土曜日……チョコはいつ作ろう……」
百瀬くんと神楽を送り出してから一通りの家事をこなし、一息つきながらふとカレンダーに視線を向けた私は数日後に迫るバレンタインの事を考えていた。
平日ならば、二人が居ない昼間に作ってしまえるのだけど、休日だと二人が家に居る為内緒で作る事が出来ない。
「百瀬くんに話して、神楽と二人でどこかに出掛けて来てもらおうかな……」
そんな事を考えていた矢先、お義母さんから電話が掛かってきた。
「もしもし」
『あ、亜夢ちゃん、今大丈夫かしら?』
「はい、大丈夫です。どうかしましたか?」
『あのね、実は今週の土曜日なんだけど――』
お義母さんからの電話は土曜日に皆で遊びに来ないかというお誘いだった。
何でもお義母さんは神楽にバレンタインのチョコをあげたいのだとか。
それならばと私はその間に百瀬くんと神楽へのチョコ作りをしたいので二人だけを遊びに行かせると話して電話を切った。
「良かった、これでチョコ作りが出来る。そうだ、今年はケーキも作ろうかな。どういうのにしよう」
内緒で作れる時間が確保出来た私はどんなチョコにしようか、ケーキも作ろうとレシピ検索をしながら二人に喜んで貰える物を考えていた。
――バレンタイン前日。
「ママ、見て! チョコたくさん!」
「本当だね」
大きな紙袋を持って帰宅して来た百瀬くんから開けていいよと渡された神楽は中を見て大はしゃぎ。
毎年の事だけど、百瀬くんは沢山チョコを貰ってくるのだ。
「相変わらず沢山だね」
「ああ、こういうのはいらないって言ってるんだけどね、日頃の感謝の気持ちだって言われると貰わない訳にもね」
「まあでも、神楽は喜んでるから」
「そうだね」
「そういえばね、今年は神楽も幼稚園のお友達数人からチョコ貰ったんだよ」
「へぇ? 神楽もやるな」
「流石は百瀬くんの息子だね。成長したらもっと沢山貰うようになるのかなぁ」
なんて他愛の無い会話をしながら百瀬くんの着ていたスーツを片付けた私は袋から一つ一つ箱を取り出す神楽の元へ向かった。
すると、全て出し終えた品々を見た私は一つ気になる物を見つけた。
(……これ、手作りだよね)
毎年貰うのは既製品のみで、稀にハンカチなどお菓子以外も貰ってくる事はあったのだけど、手作りのお菓子は初めてだった。
(……お菓子作りが好きな子……なのかな)
何となく気になってしまった私の胸にはモヤっとした感情が渦巻いていく。
「ママ、どうしたの?」
「え?」
「おなかいたい?」
「ううん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとね」
急に黙り込んだ私を心配した神楽に声を掛けられた私は「大丈夫」と答えて床に置かれたお菓子の箱を片付けていった。
百瀬くんと神楽を送り出してから一通りの家事をこなし、一息つきながらふとカレンダーに視線を向けた私は数日後に迫るバレンタインの事を考えていた。
平日ならば、二人が居ない昼間に作ってしまえるのだけど、休日だと二人が家に居る為内緒で作る事が出来ない。
「百瀬くんに話して、神楽と二人でどこかに出掛けて来てもらおうかな……」
そんな事を考えていた矢先、お義母さんから電話が掛かってきた。
「もしもし」
『あ、亜夢ちゃん、今大丈夫かしら?』
「はい、大丈夫です。どうかしましたか?」
『あのね、実は今週の土曜日なんだけど――』
お義母さんからの電話は土曜日に皆で遊びに来ないかというお誘いだった。
何でもお義母さんは神楽にバレンタインのチョコをあげたいのだとか。
それならばと私はその間に百瀬くんと神楽へのチョコ作りをしたいので二人だけを遊びに行かせると話して電話を切った。
「良かった、これでチョコ作りが出来る。そうだ、今年はケーキも作ろうかな。どういうのにしよう」
内緒で作れる時間が確保出来た私はどんなチョコにしようか、ケーキも作ろうとレシピ検索をしながら二人に喜んで貰える物を考えていた。
――バレンタイン前日。
「ママ、見て! チョコたくさん!」
「本当だね」
大きな紙袋を持って帰宅して来た百瀬くんから開けていいよと渡された神楽は中を見て大はしゃぎ。
毎年の事だけど、百瀬くんは沢山チョコを貰ってくるのだ。
「相変わらず沢山だね」
「ああ、こういうのはいらないって言ってるんだけどね、日頃の感謝の気持ちだって言われると貰わない訳にもね」
「まあでも、神楽は喜んでるから」
「そうだね」
「そういえばね、今年は神楽も幼稚園のお友達数人からチョコ貰ったんだよ」
「へぇ? 神楽もやるな」
「流石は百瀬くんの息子だね。成長したらもっと沢山貰うようになるのかなぁ」
なんて他愛の無い会話をしながら百瀬くんの着ていたスーツを片付けた私は袋から一つ一つ箱を取り出す神楽の元へ向かった。
すると、全て出し終えた品々を見た私は一つ気になる物を見つけた。
(……これ、手作りだよね)
毎年貰うのは既製品のみで、稀にハンカチなどお菓子以外も貰ってくる事はあったのだけど、手作りのお菓子は初めてだった。
(……お菓子作りが好きな子……なのかな)
何となく気になってしまった私の胸にはモヤっとした感情が渦巻いていく。
「ママ、どうしたの?」
「え?」
「おなかいたい?」
「ううん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとね」
急に黙り込んだ私を心配した神楽に声を掛けられた私は「大丈夫」と答えて床に置かれたお菓子の箱を片付けていった。