《短編集》愛しの旦那様は今日も私を溺愛する
大好きで愛おしい二人
「神楽、そんなところで何してるの?」
「な、なんでもないよ!」
ここ最近、何やら神楽が私に隠れてコソコソと何かをしているのをよく見かける事が増えていた。
今も客間の押入れ付近で何やらコソコソとしていたので声を掛けてみたのだけど、慌てた様子でこちらを振り向いては『なんでもない!』と答えて何かを背に隠してしまった。
神楽は凄く聞き分けが良くて、幼い頃から何処かに落書きをするとか、物を隠すとか、何かを散らかすとか、とにかく私を困らせるような悪戯をした事が無い。
今も別に何か悪戯をしている訳じゃないって分かってはいるけれど、これまでこんな風にはぐらかされる事が無かったからつい気になってしまった。
そんな話を、夜寝る前に百瀬くんにしてみたのだけど、
「気にし過ぎだよ、神楽に限って何かある訳ないって。ほら、早く寝よう」
「う、うん……」
『気にし過ぎ』と言われてしまったので、やっぱり私が気にし過ぎなだけなのかもと考えるのを止めた。
それから数日が経ち、ママ友で同じ男の子を持つ同い年の沙月さんと会話をしているさなか、ホワイトデーに何を返すかという話になる。
「やっぱりキャラクターものの容器に入ったお菓子がいいかしらね?」
「そうだよね、女の子は可愛いモノの方が喜ぶものね」
神楽はバレンタインデーでチョコレートを貰ったので、お返しをしなきゃと考えてはいたけれど本人はあまり興味が無いらしく、私が考えないとと思っていたところだった。
沙月さんと話してやっぱりキャラクターものの容器に入ったお菓子が一番無難だという結論に至り、神楽を迎えに行った後で一緒にスーパーへ向かい、本人にどれが良いかを選ばせてお返しのお菓子を買う事が出来た。
そして、ホワイトデーが数日に迫ったある日の夜、
「亜夢」
「何?」
神楽を寝かし付けてリビングへと戻って来た百瀬くんに名前を呼ばれた私は縫い物をしていた手を止めて彼へと視線を移す。
「あのさ、今週の土曜日なんだけど、母さんが亜夢に買い物付き合って欲しいって言ってるんだけど、いいかな?」
「お義母さんが? それは全然構わないよ?」
「ありがと。それじゃあ俺は神楽連れて少し出掛けて来るよ」
「百瀬くんは一緒に行かないの?」
「ああ、うん。俺としては一緒が良いけど、大人の買い物に付き合わせても神楽が退屈するでしょ?」
「それもそうだね。分かった」
土曜日、お義母さんの買い物に付き合う事になった私は百瀬くんや神楽と一緒に過ごせない事を少し淋しく思いつつも、仕方が無いかと割り切って気持ちを切り替えた。
「な、なんでもないよ!」
ここ最近、何やら神楽が私に隠れてコソコソと何かをしているのをよく見かける事が増えていた。
今も客間の押入れ付近で何やらコソコソとしていたので声を掛けてみたのだけど、慌てた様子でこちらを振り向いては『なんでもない!』と答えて何かを背に隠してしまった。
神楽は凄く聞き分けが良くて、幼い頃から何処かに落書きをするとか、物を隠すとか、何かを散らかすとか、とにかく私を困らせるような悪戯をした事が無い。
今も別に何か悪戯をしている訳じゃないって分かってはいるけれど、これまでこんな風にはぐらかされる事が無かったからつい気になってしまった。
そんな話を、夜寝る前に百瀬くんにしてみたのだけど、
「気にし過ぎだよ、神楽に限って何かある訳ないって。ほら、早く寝よう」
「う、うん……」
『気にし過ぎ』と言われてしまったので、やっぱり私が気にし過ぎなだけなのかもと考えるのを止めた。
それから数日が経ち、ママ友で同じ男の子を持つ同い年の沙月さんと会話をしているさなか、ホワイトデーに何を返すかという話になる。
「やっぱりキャラクターものの容器に入ったお菓子がいいかしらね?」
「そうだよね、女の子は可愛いモノの方が喜ぶものね」
神楽はバレンタインデーでチョコレートを貰ったので、お返しをしなきゃと考えてはいたけれど本人はあまり興味が無いらしく、私が考えないとと思っていたところだった。
沙月さんと話してやっぱりキャラクターものの容器に入ったお菓子が一番無難だという結論に至り、神楽を迎えに行った後で一緒にスーパーへ向かい、本人にどれが良いかを選ばせてお返しのお菓子を買う事が出来た。
そして、ホワイトデーが数日に迫ったある日の夜、
「亜夢」
「何?」
神楽を寝かし付けてリビングへと戻って来た百瀬くんに名前を呼ばれた私は縫い物をしていた手を止めて彼へと視線を移す。
「あのさ、今週の土曜日なんだけど、母さんが亜夢に買い物付き合って欲しいって言ってるんだけど、いいかな?」
「お義母さんが? それは全然構わないよ?」
「ありがと。それじゃあ俺は神楽連れて少し出掛けて来るよ」
「百瀬くんは一緒に行かないの?」
「ああ、うん。俺としては一緒が良いけど、大人の買い物に付き合わせても神楽が退屈するでしょ?」
「それもそうだね。分かった」
土曜日、お義母さんの買い物に付き合う事になった私は百瀬くんや神楽と一緒に過ごせない事を少し淋しく思いつつも、仕方が無いかと割り切って気持ちを切り替えた。