50円玉に、願いを込めて。



「...............っ、ぅ、ごめ、善利く、」



〝善利くん〟そう呼ぼうとして。



言い終わる前に、
──────パチンッ!と、弾かれたおでこ。



そして..............................



「謝って欲しいとかじゃなくてさ、
〝最後の青春〟って勝手に決めんじゃねーよ」



ピタッと立ち止まって、
私の方を振り返って言う善利くん。



「............えっ、でもっ、」



善利くんの言葉に驚いて声出したけど。



「〝でも〟じゃねーわ。
俺は教育学部、澄乃は保育学部、
遠矢はIT関係、小宮はインテリアデザイナー。
それぞれ、進路は違ってもさ、
俺らの関係は何も変わんねーよ。
だから、もう泣くなよ、澄乃」



私の言葉を遮って、そう言って、
頭をポンッとしてくれた、善利くん。



善利くんの言葉が、
ストンと私の心に落ちてきて。



──────気づけば泣き止んでいた。


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