3000円で買って下さい‼︎


「んー、あー、
慣れてるように見えたなら、ごめん。
でも俺、全然慣れてないよ。こーいうの」



一瞬、少し表情を曇らせたように見えた。



だけど、それはあまりにも一瞬で。



すぐに、頬を赤らめると。



「でも、いつかちゃんと話すよ。
未愛ちゃんには、全部知ってて欲しいから」



三栗柚月さんは、そう言ってくれて。




「ぜんぶ、」

「うん。包み隠さず全部」



〝何か〟っていうのは分からなかったし。



聞くことをためらって、聞けなかったけど。



その代わりに、ギュッと握られた手。



出会って4日目にして、
昨日ぶりで、2回目の手を繋ぐという行為。



なんだかそれだけで、ほんの少し、
三栗柚月さんに近づけた気がして。



──────幸せだった。



でも、その〝幸せ〟も、
三栗柚月さんの〝秘密〟も。



思わぬ形で、
この後、知ることになるなんて。



私は思わなかった........................


< 36 / 50 >

この作品をシェア

pagetop