背伸びして、君とありったけのキスがしたい。
顔を見合わせてケラケラと笑いあいながら、彼らのうちの一人に腕を掴まれて、強制的に出入口に連れ出されていく。
どれだけ抵抗してみせても力で勝てるはずもなくて、その腕はビクともしない。
「……いやだ、離して!」
これから自分がどうなってしまうのだろうと考えただけで怖くなって、だんだんと足の力が抜けていくのが分かった。
恐怖のあまり、少しずつ呼吸は浅くなって、視界がぼやけていく。
――やだ、怖いっ。
「……たす、けて」
最後の力を振り絞って出した、かすれた声。
こんなの、誰の元にも届くわけないのに。
……もう、諦めるしかないの?
抵抗する力を抜いて、目いっぱいに溜まった涙がこぼれ落ちた。
「俺の店でなーにやってくれてんのかなぁ?」