背伸びして、君とありったけのキスがしたい。
未だに私をうしろから抱きしめたまま、顔を覗かせるようにこちらを見てくる彼。
いったい誰、なんだろう。
目の前の男の人たちが、あれだけ素直に言うことを聞くような人だ。
うしろの彼は、もしかしたらもっと危ない人なのかもしれない。
「もう、大丈夫……ですっ」
「本当に?」
「ほ、本当に……」
復唱しながらゆっくりと頷くと、うしろの彼はパッと私を離した。
そして三人の男の人達から私を隠すように、目の前に立ちはだかる。
私よりもうんと高い身長に、細身なスタイル。
ふわっと猫っ毛の髪が印象的だった。
オーバーサイズのTシャツに黒色のスキニー姿というラフな服装の彼の背中は、なんだかとても安心できた。
「よかったね、お前たち。許してくれるって」
「あ、ありがとう……ございます」
「すみませんでした、綾人さんの店で……こんなことして」
「で、ここで一つ提案なんだけど。お前ら三人はこの子に感謝しながら、今日はもう家でゆっくりしたらどう?」
「い、いやでもせっかく来たんだし……」
「もう、問題は起こさないので、その、俺らもまだ遊び足りないっていうか」
「──なぁ、頭、働いてる?俺が、お前たちに、今日はもう家に帰れって、丁寧に提案してんの」