背伸びして、君とありったけのキスがしたい。
わざと言葉を区切って強調する、目の前の彼の威圧感がこちらまでヒシヒシと伝わってくる。
そんな彼に何も言えなくなった男の人たち三人は、ばつが悪そうにこのクラブから去っていった。
「……さて、と」
彼らが完全にこの場からいなくなったことを確認した途端、緊張の糸が切れたかのように体の力が抜けていく。
もう立っていることすらできなくなって、その場に座り込んでしまった。
「怖かったね、立てそう?」
「もう、大丈夫です。助けてくださって、ありがとうございます」
今日は本当に最悪の一日だ。
橋本くんのことも、今このクラブで起きたことも、全部、全部。
明日から、どうやって橋本くんと関わっていけばいいんだろう。
どんな顔をして、どんなふうに声をかけたらいい?
やっぱり、お別れしたほうが……いいのかもしれない。
それとも、橋本くんのいうとおりに私がもっと大人になって、彼が思い描いているような『お付き合い』をすればいいのかな。