背伸びして、君とありったけのキスがしたい。
「お、お仕置き?」
突然、グッと低くなった綾人さんの声。
片方の口角をクッとあげて、何かを見据えているようなその表情は少しだけ怒っているようにも思えた。
「まだ十代の男とはいえ、里緒ちゃんみたいな初心な女の子にそんな下品な会話を聞かせるとはねぇ」
「あ、あの、綾人……さん?」
「彼にはもう少し、女の子の扱いかたってものを学んでもらわないと」
「え?」
「俺と里緒ちゃんで、橋本くんのこと……ちょっとだけ懲らしめちゃおっか」
そう言った綾人さんの目が、ギラリと光ったように見えたのは……きっと、私の気のせいに違いない。