背伸びして、君とありったけのキスがしたい。




綺良ちゃんの話を聞いて、改めて私とは住む世界が違う人だと思った。



そもそも綾人さんは二十六歳で、私は十七歳。


彼は自分のお店を何店舗も経営している経営者で、私はまだ高校生。






本当なら、一生縁のない人だった。


だけど、それでも出会ってしまったんだ。


あの熱い視線に、綾人さんの大きくて細長い手で撫でられたあのときのぬくもりに、聞き心地のいい低音の声。


綾人さんのことを思い出すたびに、私の胸は途端に騒がしくなる。





あのあと、綾人さんは私と綺良ちゃんを家まで車で送り届けてくれた。


別れる直前『またね、里緒ちゃん』って、そう言ってくれたのに。





今度、いつ会えるんだろう。


もしもこのまま一生会えなくなったら……。


そう考えると、なんだかすごく胸が締め付けられるような息苦しさが私を襲った。







「……ねぇ、里緒?ちょっと話さない?」


綾人さんのことを考えながら、綺良ちゃんが戻ってくるまで席に座って待っていようとしたとき。


ふいに声をかけてきたのは、橋本くんだった。




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