背伸びして、君とありったけのキスがしたい。
突然うしろから声をかけられた途端、驚きのあまり肩をすくめた。
「橋本、くん?」
あの会話を聞いた次の日から、私はずっと橋本くんのことを避け続けている。
毎日のように送っていたメッセージもやめて、夜の電話もしなくなった。
最初は橋本くんも『どうかした?』『俺、里緒に嫌われるようなことした?』と仕切りに聞いてくれていたけれど、何かを察したのか、それ以上彼からメッセージが送られてくることはなくなっていた。
「話って、なに?」
「そんなの一つしかないでしょ。里緒がずっと俺のことを避け続けている理由だよ」
「……っ」
「俺、何かしてたなら謝るからさ」
「今は、なにも話したくない」
「じゃあいつすんの?里緒が逃げない日っていつ?」