背伸びして、君とありったけのキスがしたい。




教室にはまだほとんどのクラスメイトが残っているのに、橋本くんはわざと大きな声でそう言った。


クラスのみんなは私たちに何があったのかと様子を伺うようにこちらを見ている。

そんな様子を見て、私は顔を隠すように俯くことしかできなくなった。




「里緒に何があったのか分からないけど、まずはちゃんと話し合わないと」

「……無理、だよ」




あの日の会話を聞いて、どんなふうに橋本くんと話をすればいいの?


綺良ちゃんは『あんなヤツ今すぐ別れるべきだし!』と言っていたけれど、私はまだずっと悩んでいた。


今の関係を続けていくべきなのか、それともお別れするべきなのか。




「はぁ。なんなのマジで」


「……っ!」


「あぁ、もしかして浮気?他に好きなヤツでもいんの?」




橋本くんのそのひと言で、途端にこの場の空気が変わるのが分かった。


「橋本くん、何言って……っ」


「はっきり言えば?だから俺と目を合わせらんないんでしょ?」


「ちがっ、そんなんじゃない!」





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