背伸びして、君とありったけのキスがしたい。
「(橋本くんが付き合おうって言ってくれたのは……体目当てだったってこと?)」
まさか、彼がそんな人だったとは思ってもいなかった。
高校生になったら、マンガや小説で見るような素敵な恋がしてみたいと思っていた。
そしてやっと、その夢が叶うんだって……嬉しかったのに。
こんなにも最低なものになってしまうなんて。
「……もう、いいや」
忘れものを取りに入らずに、私はそのまま教室をあとにする。
悲しみと、悔しさと、怒り。
そんな負の感情がぐるぐると私の心の中を覆っていった。